4月の読書

ハーバード流交渉術

ハーバード流交渉術

  • 作者: ロジャーフィッシャー,ブルースパットン,ウィリアムユーリー,Roger Fisher,Bruce Patton,William Ury,金山宣夫,浅井和子
  • 出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ
  • 発売日: 1998/03
  • メディア: 単行本
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 実はすごく昔(8年くらい前)に当時の上司から薦められたのですが、積読に成っていました。その時も多少読んだのですが、今ひとつ実感が沸かなかったので、止めてしまいました。最近、某blogで薦められていたので再読して見ました。
 基本的なロジックはデッドラインで書かれていたものと変わらなく、大きな発見はありませんでした。しかし具体的な事例があったり、考え方のヒントがいくつかあったので、その点は参考になりました。やはり本は出会いで、タイミングが重要ですね。
 例によって、備忘のために一部を抜粋。

  • 相手側とのブレストを計画する。関係者全員の利害を考慮に入れたアイディアを生み、共同で問題を解決しようという気運を生む。また互いに相手の利害を知るという極めて大きな利点がある。
  • ブレインストーミング中の心得:横並びに座って問題に取り組む。共通の問題に共同で取り組む姿勢を心理的に強めるため
  • 多くの人は正当性というものを重視する。したがって、相手方が受け入れやすい解決を図る一つの効果的な方法はそれらが正当に見えるように体裁を整えることである。
    (そうそう、相手の気持ちを推測する事が交渉の第一歩だよね)
  • 利害の対立を私意で解決しようとすると結局高くつく。したがって、解決は双方の意思とは無関係の客観的な基準によってなされるべきである。
  • 前もって、受け入れることのできる最悪の結果、つまり"ギリギリの線"を決めておいて方がよい。
  • 交渉による合意が成立しないとき、それに代わる最良の案は何か。その代替案は、交渉相手から合意案を検討するうえで目安となるだけでなく、あまりにも不都合な条件を受け入れることを防ぎ、また有利な条件を拒否してしまうことを防ぐ、唯一の基準である。
    (相手の立場を推測する重要性は分かっていたけど、譲れるラインに関してはあまり考えていなかった)
  • 合意が成立しなかった場合の、相手の代替案についても考慮すべきである。彼らは合意が成立しない場合の処置について楽観的に考えすぎているかもしれない。多分彼らにも、数多くの代替案があって、それらをいっしょくたにして漠然と考えているのだろう。
  • 議論にのぼっている案を改良する方向へ相手の関心を持っていくことである。それには、仮に彼らの主張する立場を受け入れるとしたらどうなるかについて話し合うのがよい。
    (無茶な要求をする人はたくさんいるけど、気がつくように誘導するのは難しい)
  • (たたき台を作って意見を求める)経済的制約内で双方の利害の最大限の調和を考え出すこの過程は、決定とは区別されているので、どちらも性急な約束をしてしまう心配はない。
    (たたき台の重要さは分かっていたけど、進め方を整理しておくのは良い事)
  • (相手が汚い手口を使ってきたらどうするか)相手の手口を知ったら、次にそれらを正面から取り上げる。「ジョー、これは私の全くの誤解かもしれないが、どうも君とテッドはは好かれ役と憎まれ役を演じているような気がする。君たち二人の間に本当に意見の食い違いがあるなら、ちょっと休憩したらどうだろう」
    (これは戦術の一つとして心得ておくと良いかも)

 でも一番面白かったのは訳者の後書きかもしれない。そうなんだよねぇ〜。彼らはパワフルに交渉するんだよね。でも文化の違いらしいぞ。

  • 日本人とアメリカ人は、そもそも交渉についてお互いに大きく異なるイメージを抱いていることに気がつかないままに、交渉のテーブルについているケースが多いのだ
  • 日本人が特に反発を感じるのは、交渉中にけわしい顔で要求を突きつけていたアメリカ人が、交渉が終わったとたんに、ガラリと表情を変えて手をさしだし肩を抱いてくるようなときである。ひっかけられたのではないかと疑心暗鬼にならざるをえないからであり・・・

yom yom (ヨムヨム) 2008年 03月号 [雑誌]

yom yom (ヨムヨム) 2008年 03月号 [雑誌]

 読んだのは、十二国記の新作「丕緒の鳥」が載っていたから。短編も良いけど、最後の長編はいつ出るのかなぁ。結構長らく楽しみに待っているので、早めにお願いします。

おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書)

おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書)

 中島さんのblogをいつも楽しんで読んでいるので、買ってみました。元マイクロソフトの古川さんと対談がすごいという噂は聞いていたけど、本当にすごいね。パソコン黎明期における中島さんのキャリアがさりげなく書いてあるけど、時代を背負った人だなというのが伝わってきます。しかも「日本の」じゃなくて、「世界の」だもんな。
 えっと例によって一部抜粋です。

  • 人事管理はしないけど、業務としては100人のエンジニアたちが何をやっているかを監督し、指示を与えなければいけなかった。でも、誰も僕の下に属していない以上、僕に命令する権限はない。なので、彼らに言うことを聞かせる唯一の方法が「エンジニアとして勝つこと」だったんです。
    (すさまじい自負ですね。不肖shodaiもミニチュアな同じ立場なので、心に染みました)
  • (中島さんとの対談での中島さんの言葉)「グーグル礼賛者」とかよく言われているようだけど、みんなに向かって「グーグルという会社を正しく認識しようよ」と言っているだけなんです。10年足らずでこれだけ大きな会社になって、売り上げも利益も時価総額の伸びもすべて至上最速。
    (グーグルのすごさと不可思議さは、理解が足りない部分も多かったので参考に成りました)
  • (1999年頃に)僕がビル・ゲイツに「半年ぐらいの短期間、3人程度のグループで好きなことをさせてほしい」と直談判したんです。でも彼は「それはベンチャー企業でもできる。マイクロソフトの役割はベンチャー企業ができないことをやることだ」と突っ返した。
    ゲイツはやはり経営の天才かも。時流を考えればなかなか言えないセリフだよね。正しいか間違っているかの判断は難しいけど、これを明確に打ち出せるのは本当にすごい。自分が何であるかを本当に理解した判断なのだろう。
  • (中島さんの言葉)大学の先生のような既存の枠ではないところで活動して、20年後に「あの人は違う意味での『教育』を実施していたんだな」と言われるようなことをしたい。

クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?

クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?

 半分くらい読んだところで、図書館の期限が来たのでタイムアップ。面白かったんだけど、手元に無いから抜粋も出来ない。小説風に書かれている本はとっつきやすいけど、飛ばし読みがしにくいから困るよね。